低濃度アトロピン治療(点眼薬による近視抑制治療)

1.治療の目的及び内容

小児期に眼球が前後に伸びる(眼軸長が伸びる)ことで近視が強くなります。強度近視や眼底変化を来す病的近視になると緑内障や黄斑出血などの眼の病気を合併するリスクが高くなるため、小児期に近視進行を抑制することが重要とされています。

本治療は、低濃度アトロピン点眼液が眼軸長を伸ばすとされるムスカリン受容体に作用して、小児期の近視進行を抑制することを目的とするものです。低濃度アトロピン点眼液発売前の臨床試験において、点眼を行わない場合に比べて、小児期の屈折値の進行や、眼軸長の伸びを抑制することが確認されました。

本治療は、近視の進行を抑えることを目的としていますが、完全に近視の進行を止めることはできません。また、この治療は視力を回復させるものではありませんので、その点をご理解ください。

したがって、本治療を行った場合でも、近視の程度に応じて眼鏡等での視力矯正が別途必要となります。

2.治療法および治療に要する費用、期間・頻度

低濃度アトロピン点眼液による治療は、自由診療(公的医療保険の対象外)です。
診察・検査・薬剤費用は、全て自由診療となります。
低濃度アトロピン点眼液が原因と考えられる副作用の治療が必要な場合や、下記の治療スケジュール以外での近視の診察・検査(学校健診後の視力検査や眼鏡・コンタクトレンズ処方など)も、全て自由診療となります。
診療は予約制のため、事前に電話でご相談ください。

(1)治療に用いる薬剤:低濃度アトロピン点眼液(リジュセア®ミニ、参天製薬株式会社)

* 防腐剤無添加で1回使い切り容器に入っており、1回1滴を1日1回就寝前に点眼します。
* 1箱 30本入り

(2)治療スケジュール・費用

検査後、適応と判断されれば治療開始となります。副作用等がなく、治療継続に問題なければ、定期的に効果をモニタリングします。開始年齢にもよりますが、2年間以上の治療継続をお勧めします。

* 表記は税込価格
* 上記スケジュール以外での近視に係る診察・検査費用は3,000円(税込)です。

3.主な副作用・危険性

主な副作用として、羞明(まぶしく感じる)、霧視(かすんで見える)があります。
他に、視力障害、頭痛 、眼瞼湿疹が起こることが報告されています。
また、治療を途中で中止すると、近視が急激に進行する可能性があります。
これらの症状、その他にも何らかの異常が現れた場合には、直ちに医師にご相談ください。

4.その他の近視抑制を試みる治療

  • オルソケラトロジー      自由診療 当院で実施  説明ページへのリンク
  • 多焦点ソフトコンタクトレンズ 保険診療 当院で実施  小児本人による取り扱いが必要
  • レッドライト治療法      自由診療 当院で未実施 低濃度アトロピン治療との併施不可

5.参考資料

リジュセア®ミニ点眼液0.025%治療をはじめられる患者さんへ(参天製薬株式会社、2025年3月作成)

6.問合せ先

ご不明な点がございましたら、下記までご連絡ください。

鈴木眼科 TEL 0836-51-3181